たかちゃん

オフィサー・アンド・スパイのたかちゃんのレビュー・感想・評価

4.3
主人公ピカールは、弁護士、ゾラなど支援者と共に、ドレフュスの冤罪を晴らそうと、自ら獄中の人となっても国家権力と闘う。そしてラスト、自由の身となったドレフュスがピカールを訪れ、自身の身分に不満があること、それに対してピカールは出世している、と不満を漏らし、待遇を改善してほしいと訴える。このような俗物のために闘ってきたのか、という思いは口にはしないが、「どうにもならんね」の一言で別れる。この場面を最後に加えたことで、苦々しい後味となった。そして執拗にユダヤ人だから冤罪に陥れられたのだと強調する。結局は、自由となってもドレフュスには救いがなく、救済者であるピカールからも見放されてしまう。『吸血鬼』、『ローズマリーの赤ちゃん』のポランスキーに変節はなかったのだ。
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