kou

オフィサー・アンド・スパイのkouのレビュー・感想・評価

4.5
一見してポランスキーの作品だと思えないビジュアルで、とても美しい世界観に驚かされる。しかしながら内容について見ていくと非常にポランスキーらしい、彼が何度も何度も繰り返し描いているテーマであることに気付かされる。

冒頭の圧巻さから素晴らしく、そこからの淡々と、しかしながら力強く進む物語に惹き込まれる。振り返るとあっという間の時間で、素晴らしく充実感のある作品であった。やはり見事としか言いようがない。

ドレフィス事件という冤罪事件。それを隠蔽しようとする政府。差別、書類の偽造、暗殺等、今でもどこかで何度も聞いたことのある内容に、陰惨たる気持ちになるが、それでも自身の正義を貫くピカールの姿勢に僅かに勇気づけられる。しかしながら彼自身も人間味溢れ、決して褒められた人間でないこともリアルだった。
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