KUBO

みをつくし料理帖のKUBOのレビュー・感想・評価

みをつくし料理帖(2020年製作の映画)
4.0
角川春樹さん、やっといい映画撮れましたね。

映画が大好きで、角川映画を立ち上げて『犬神家の一族』や『時をかける少女』など、プロデュースとしては大ヒットを連発していち時代を築いたものの、自分で監督したものは駄作続きで、「監督、角川春樹か、じゃあダメだな」なんて最初から思ってしまうほどのダメっぷりだったのに、11年ぶりに撮った『みをつくし料理帖』素晴らしい作品だった。

幼い頃に生き別れた2人がそれぞれ別の道を歩み、会いたくても会えない身の上で、初めて文でお互いを確かめ合えたシーンでは心が震えた。

主演の松本穂香がいい! 日本髪を結っておでこを丸出しにした顔は、『野菊の墓』の松田聖子思い出しちゃうくらい、お世辞にも美人には見えないんだけど、ひたむきにがんばる健気な澪の役柄にぴったり合っていて、どんどんかわいく見えてくる。演技力の成せる技?

脇を固めるキャストが豪華! 澪を支える「つる家」の店主に石坂浩二、御陵さんに若村麻由美。江戸時代のミシュランの審査員みたいな侍に窪塚洋介、澪を温かく見守る青年医師に小関裕太。そして幼馴染の野江ちゃんを守る男役の中村獅童がいい!

若い頃は派手でカッコいい映画ばかり撮ろうとしては失敗してきた角川春樹だけど、80歳を前にして、こんな心温まる映画を撮って、文句言いながらずっと付き合ってきた人間としては、なんかすごいうれしい。

オープニングとエンディングの絵に大林宣彦の影響を感じたけど気のせいかな?

『みをつくし料理帖』は角川春樹監督の代表作になったね。



*馬琴が藤井隆なのは許せん!と、滝沢馬琴ファンの奥さんが横でずっと怒ってましたw
KUBO

KUBO