なっこ

みをつくし料理帖のなっこのレビュー・感想・評価

みをつくし料理帖(2020年製作の映画)
3.0
NHKの黒木華ちゃんがヒロインの方は、特別編で小松原様との恋のゆくえに泣かされ、「道はひとつ」という言葉があまりにも重く冷たく私の心に乗っかって、しばらく気もそぞろで仕事をしたことを昨日のように思い出す…。

原作未読。大人気シリーズ、待望の映画化。

映画の方は、ヒロインと太夫の年が若く、小松原との年齢差もあって、みんなに見守られながら成長する幼馴染ふたりの友情物語として素直に見ることができて、とても良かった。NHKドラマの配役とどちらが好みか…と問われると、迷ってしまうくらいどちらも良いし、どちらも豪華。楽しく見られる作品だと思う。
冒頭の大水のシーン、静かだけれど、ここのところ豪雨災害が多いので身に染みてその怖さが伝わってきた。飲み込んで全て流してしまう大水の怖さは、降り始めていつ止むか全く予想もできない当時の方がきっと怖かったに違いない。

「旭日昇天」と「雲外蒼天」どちらの運命がより過酷なのだろう。天下取りの相にはそれにあやかろうと良くない人も寄ってくる。強運はそれに見合った不運も連れてくる、太夫が言っていたことは当たっていた。平凡で苦労が多くても自分にしか見ることのできない青空をきっと見ることができると、明日を夢見続けられるのであれば、ヒロインの相もけして悪くはない。むしろ天下を取ったような座に居る太夫の明日の希望も実は、澪の存在があってこそなのかもしれない。

ふたりが望むような幸せな結びを迎えられないことは、分かっている。分かっていてもそれを支えに生きていく人生は、叶えたいことが何もないよりはずっと良い。誰もが応援したくなるようなヒロインたちの健気な姿に心打たれた。
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