らんらん

レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想いのらんらんのレビュー・感想・評価

4.0
エドワード・ズウィック監督、1994年。

ブラピ×モンタナ、ツートップの片割れです。

タイトルが抽象的で何の話か分からないけど、ブラピがカッコいい名作ものという記憶。
南北戦争後から第一次大戦、禁酒法時代をメインに約50年間の一家三兄弟の足取りを描く。原作はジム・ハリソンの同名小説(1979)。

しかし同じモンタナでやはり兄弟を描いた『リバー・ランズ・スルー・イット』(ロバート・レッドフォード監督/1992)よりもちょっと印象は薄い。
(両作はアカデミー賞撮影賞を受賞している。)

背景部分の描写、土地の描写が少し物足りない気はする。父親の庇護の元、また牧畜業の隆盛を背景とした幸せな少年時代や、先住民族との生活や自然との結び付き、移り行く季節の対比等。
基本的には一家三兄弟の絆や、他との人間関係、恋愛をメインにストーリーが展開するが、中心となるトリスタン(ブラッド・ピット)が本能的な人物という事もあり、神話的、呪術的なカタルシスを足してくれたらもっと入り込めたような気はする。

今回は、アンソニー・ホプキンス演じる父親ラドロー大佐が印象的だった。
南北戦争で武勲を挙げた英雄ながら、戦争の欺瞞への嫌悪と虚無感から世間に背を向ける。
「息子達を世の理不尽から遠ざけようと思った」という父親。
モンタナの荒野で先住民族と共に牧場を営む。
厳しい自然の中での生活を嫌った妻は離れて行く。
人道家で行動力があり頑固で公正な正義漢。三兄弟の資質を混ぜ合わせたような人物にも見え、運命に抗いつつひたすら人生に耐える老親は痛々しくも勇ましい。

ブラピは得意の野性味のある美しさ、先住民族の掟を内面化し、奔放で太陽のような人物を存在感をもって表していたと思う。
それにしても屈託に次ぐ屈託、なぜそうなる!という展開も美しさでねじ伏せる。

語り手は友人の先住民族の男で、一家の手紙を読み解く形で思い出を語る。1900年代前半のアメリカ北西部、運命に翻弄される一家と、一人の異質な白人を描いた大河作品。
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