いやあ、これは…これは……。
どう言えばいいのか。壮絶で、悲しくて、時折虚しさに襲われる。ストーリーに中身がないという意味ではなく、アダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソンのその演技に没入した結果、そうなる。
ヘンリーの親権がどうなるとか、どこに住むのかとか、そういう「離婚」の話ではなく、あくまでチャーリーとニコールという夫婦の「結婚」の話。観終わってから改めてこの作品のタイトルがグッとくる。
2人が口論になるシーンは、どこか腫れ物に触るような会話ばかりだった2人が初めて胸の内を曝け出した(些か本人たちが意図していたよりもエスカレートした風だけど)ようで、ああこれがもっと前に起きていれば、彼らはきっと別れずに済んだだろうにと思った。
結果的に2人は離婚に至るけれど、同時に2人はお互いへの愛(もっと大きな意味を含めて)を確信していたように見えた。
エンディングで、気づいたら泣いている自分がいた。結婚も、まして離婚も経験のない私だけれど、ひどく揺さぶられた。
2人の涙(と激情)が印象的な作品。
アダム・ドライバーの深い歌声の何と素晴らしいことか。