ほのか

娘は戦場で生まれたのほのかのレビュー・感想・評価

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)
4.2
肉が抉れ、血で傷跡がわからない。
ぐったりしたひと、腕が吹き飛ばされた子供。
ストレッチャーなんてないから布の上に乗せて、足を掴んで引きずって移動させる。
とりあえず布をかけ、壁際に寄せただけの死体。
が、床を覆っていく。
負傷者が病院に運び込まれてくるに
「あぁ、まるで偽物みたいだ」と思う。
そう思った自分に恐れを抱く。
偽物にしか見えないけれど、これは紛れもない本物なのだと、偽物しか知らないわたしはそこを迂回しないとこの現実が受け入れない。




監督の語りの言葉はどれも心に突き刺さるもので、常に眼に薄い膜が張ってる状態で映画を観なきゃいけなくてたいへんだった。
それ聞くのか、不謹慎って怒られないかなって心配は、子供の死体に縋る母親の「ぜんぶ撮って!!」の怒鳴り声で見当違いな考えだったと気付かされた。これを撮り続けるのは利益のためではなく、なにが起こり両親がどう考えてもどう活動していたを娘に知ってもらうため。そして広めなきゃ、広めて知ってもらって助けてほしいの一心。それを貫く、そこにいた人たちの根底にある共通した理念の揺るがなさに、人間の強さをみた。