サラリーマン岡崎

ラスト・クリスマスのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

ラスト・クリスマス(2019年製作の映画)
4.3
Wham!の「Last Christmas」って、
ハッピーなクリスマスの曲かと思ってたけど、
失恋の曲だったんだと本作を観て知った。

ただ、本作は別に失恋の話ではない。

I gave you my heart
僕は君にハートを捧げたんだ
But the very next day you gave it away
でも君は次の日にそれを捨て去った
This year
今年は
To save me from tears
涙を流さないように
I’ll give it to someone special
僕はそれを(誰か他の)特別な人にあげるんだ

このサビの歌詞にフォーカスを当てた作品だ。

本作はラブストーリー要素の他に、
イギリスの現代である移民問題・LGBTQ・格差社会など、
ダイバーシティを扱っている。
自堕落な主人公が運命的に出会った男性からもらった大切な経験を
そういった様々な人に今度は主人公自身があげる話。

去年、彼からもらった経験を特別な人にあげる。
失恋の歌からなかなかダイバーシティの物語に繋げるのはなかなか難しいが、
この作品の精神は確かにダイバーシティ社会における重要な要素だと思う。
自分が受けた恩恵を自分は人にあげる。
それが繰り返していけば、諍いは起きず、
とても良い社会になる。
そして、誰もが幸せになる(まぁ、中には嫌ないのもいると思うが)クリスマスという日に
焦点をあてていることで、
社会がひとつになる感覚を味合わせてくれる。
『ラブアクチュアリー』と同じロジックだ。
ポール・フェイグらしい煌びやかな美術使いも
その感覚を醸成させてくれる。

軽いラブコメと思って見た本作から
意外と心温まる良い思いをさせてくれたのが
今年のクリスマスプレゼントかな。