きゅうげん

ディック・ロングはなぜ死んだのか?のきゅうげんのレビュー・感想・評価

3.3
大躍進するダニエルズの長いほう監督作品。
馬と肛門性交して亡くなった事故(?)って、実際に2005年のワシントン州で起きているらしいですね。
そんな不名誉すぎる真相を隠そうとするバンドマンと、意味不明すぎる殺人事件として追う保安官の不条理な攻防を描きます。

“田舎ナンセンス警察もの”といえば、やっぱり『ツイン・ピークス』とか『ファーゴ』とか。
そんな先行作品にくらべてコメディ要素がかなりアップしてるのはダニエル監督らしいですが、しかしポップに行くならもっと早く短いテンポ感が欲しい気も。
それと個性豊かなキャラクターばかりなのに、群像劇っぽさが薄いのも残念。他人事のままトンズラしようとするアールとか、亡夫を捜索するけどいちばん蚊帳の外の妻ジェーンとか、もうちょっと深掘りして観たかった。
ネタがバラされてからも、オルセン家での後半戦がちょっと冗長な感じ。

とはいえ台詞や会話のくだらなさや、仕草や振る舞いの絶妙さなど、化学反応的な魅力も。
どんどん落ち着きなくなってくジークとか、「コック・サッカー」が気になる娘とか、どんな冗談も真に受ける保安官とか、温度感がほんとナンセンス。北米版ポスターも最高にバカ。
不条理コメディの新世代としてどんどん頑張ってほしいです!