すん

ディック・ロングはなぜ死んだのか?のすんのレビュー・感想・評価

3.5
ちんちんでかおは何故死んだのか?

『スイス・アーミー・マン』の監督でこのふざけたタイトルなので絶対爆笑ものでしょ、と思ってたのだけど
まったくそんな事はなく全編にわたって重々しく、じっとり湿ったようなテイストで、いつどんでん返しがくるのかと期待は高まるものの、提示されるのはただ「真実」と「虚しさ」と「馬鹿馬鹿しさ」だけという、後味の悪い映画。
笑えない笑い。
「バクマン。」でいうところの「シリアスな笑い」

そのトーンで突き通したからこそ、「死因」が語られるシーンの馬鹿馬鹿しさは尋常じゃないし、
当事者たちのヤベェヤベェと焦る気持ちが伝わってきてリアルなんだな。
真実を知ってから観る2回目のほうがグッとくるんじゃなかろうか。(このテイストで2回目を観る気になるかは謎だが)

誰も知りたくない・絶対に誰にもバレたくない真実を、隠そうとすればするほどボロを生む気持ち悪さ。
最後の婦警のセリフがこの作品のすべて。人間の本質をこれでもかと映し出す。

番人受けはしないだろうし、そんなにハマらなかったけど、こんな真面目にふざけた作品をよくぞ作ってくれた!という感動はある。
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