おどろきの白鳥

バーナデット ママは行方不明のおどろきの白鳥のレビュー・感想・評価

4.2
演出含めいろいろな工夫が巧みで、かなりの傑作の類だと思いました。

ケイト・ブランシェットの、とても『TAR ター』と同じ女優さんとは思えない(いや彼女だからこその)憑依したような演技は生き生きキレキレ。
嫌な感じになりそうなキャラクターなのに、反感・嫌悪感を覚えないし、かといって同情するわけでもない…
「ああ、理不尽に踏みにじられた経験はみんなあるかも」みたいな共感をして、なんとなく応援しちゃいたくなる女性像でした。

あと、なにげに娘役の子がすごい演技達者・はまり役で、彼女の存在でバーナデットが引き立つという相乗効果も大きかったように思いました。

「いくつになっても再挑戦できる!」
「なりたい自分になれる!」
と、子持ち中年が主人公ながら、プリキュアみたいなテーマは、万国共通なんだなと感心。

ラストのイギリス建築物を実際に設計したのは作中の人物とは関係ないはずだが、奇抜さと移動が可能な実用性とを合わせた実用美の集積なデザインがリアリティを与えた、不思議な余韻がありました。

行方不明になるのは物語のラスト1/4くらいなので、邦題はネタバレされたような気分があり、ダメ出しをしたくなりました。
不満はそこくらいで、あとは完璧でしたね。