紅梅シュプレヒコール

劇場版 SHIROBAKOの紅梅シュプレヒコールのレビュー・感想・評価

劇場版 SHIROBAKO(2020年製作の映画)
4.0
「花咲くいろは」「凪のあすから」等で知られるアニメスタジオP.A.WORKS制作が2014年に放送した同名テレビシリーズの続編となる劇場版

大団円で終わったテレビシリーズの最終話から4年後を描いた作品になっており、とあるトラブルにより下向きになってしまった武蔵野アニメーションが再起をかけて劇場アニメの制作に着手するという大筋

現実世界とマッチさせたメタ的な視点から物語が描くことで、せっかくテレビシリーズが大団円で終わっていたにも関わらず劇場版を制作するのは蛇足になるのではないかという問題点を解消しているのが見事だし劇場版というフォーマットを有効に活かしている

物語を劇的にする以上仕方ない事だが、主要な登場人物のマイナス状態の姿を見せられるのはやはり心苦しい

しかし、テレビシリーズを観ており逆境を跳ね除ける姿を知る身として安心感をもったまま最後まで鑑賞する事ができた

閑古鳥が鳴く武蔵野アニメーションスタジオの姿に胸が痛むが、宮森が冒険へと足を踏み出す中盤以降から登場してくる旧来の面々との邂逅にはやはり嬉しくなる

アニメ制作の裏側を描いたお仕事作品でありながら、お手本の様な王道な脚本とアニメならではの演出で魅せる映像表現によりドラマ性とエンタメ性(作中で言われるリアルとデフォルメ)を両立させた素晴らしい一作になっているのでオススメです