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虚空門 GATEのドントのレビュー・感想・評価

虚空門 GATE(2019年製作の映画)
4.3
 2019年。すごい。これはすごい。超すごい。月面宇宙人の解剖動画なるものを観たドキュメンタリー監督・小路谷がUFO・宇宙人識者に真偽を訊ねて回るうちに出会った庄司という男。コンタクティ(宇宙人と繋がれる人/UFOを呼べる人)である彼が、ある日突如としていなくなり……
 6年の歳月をかけて撮られたUFO・コンタクティ・ヒューマンドキュメンタリー……と書くと「ははーん、“そういうの”ね?」とわかった気になる人がいそうなのだが否、断じて否。これは変な人たちを生あたたかく眺める映画でもなければ、何もかもを信じている映画でもない。しかし部分的には、その両方でもありつつ、だが最後まで真面目である、そういう映画である。
 まず第一に「“そういう”映画ね?」と舐めてかかっている人の想像はものすごい勢いで裏切られる。異次元の方向から。2回くらい。顔の上に「!?」が出現する。ドキュメンタリーなのに、こんな展開誰が予想できるものかよ。
 しかしながら本作は生き生きと、UFOと地球外生命体の存在を信じる様々な人々を撮し出す。虚実や真偽を越えた部分にある人間のたくましさ、チョボさ、喜怒哀楽、苦しみと希望がある。夜空を見上げて「あっ、ほら……」と呟く彼らと、人生に小さな希望を見出だしつつ生きている自分にいかなる違いがあろうか。たとえそれがまやかしの希望であっても……
 冒頭に掲げたあらすじ以外はほぼネタバレになってしまうので、できるだけ情報は仕入れずに観ていただきたい。『FAKE』を撮った森達也が絶賛するのもわかるし、ある点では『FAKE』と似ているし、越えているかもしれぬ。いやはや、凄みのあるドキュメンタリーであった……
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