はずみで観た。
とにかく夏帆演じる塔子が、めちゃくちゃウザい。姑や夫に反感をもちながらも笑顔を浮かべる裏腹さも、ほかの男と距離を縮めて鞍田の反応を窺うときの、目を見開いた、あの無垢というか白痴っぽささえも感じさせる表情も、職場で控えめに振る舞いつつも陰でコソコソ悪女的行動をとるのも、身を守るようにバッグを両手で抱えて持つのも、少女のような儚さ、あどけなさ、無邪気さで、ドロドロした欲望をあざとくコーティングしているようで、とてもグロテスクに感じられ、見ていて不快感が拭えなかった。
なんか、夏帆まで嫌いになりそうだった。
「人間さぁ
どれだけ惚れて死んでいくかじゃないの」
そんな台詞を聞いて、だいすきな余貴美子までも嫌いになりそうだった。
そんなに恋愛て大事かね。
死ぬ気で愛すことは最高かね。
そう思ってしまう、わたしみたいな人間は観なくていい映画だと思った。良さがわかる人だけ観たらいいね。ごめんなさい。
鞍田や夫が、塔子のどこに惹かれたのわからないのが、わたしと作品のいちばんのズレだろう。自分の意思に気づかないフリして都合よく流されたくせに被害者ヅラする恋愛至上主義女子、、、まったく共感できない。家父長制度バリバリな家に嫁いじゃったことに同情だけはするけども。
ただ、車のなかで告白するときの、
アクが抜けきった鞍田の表情はよかった。
あと「hallelujah」はいい曲だ。
あぁ、この曲が流行ったのも、建築家がボルボワゴンに乗ってるのも、みんな躊躇なく室内でタバコを吸うのも、時代設定がいまよりすこし前だからなのかな。たとえば90年代とか。不倫ものの金字塔?『失楽園』も90年代だったような。