ピロシキ

マトリックス レザレクションズのピロシキのレビュー・感想・評価

3.8
たとえ精神が衰えずとも、肉体は確実に年を重ねるもの。ましてや、一度死んだ者が再び息を吹き返すなんて、我らが住む「現実世界」では不可能なこと。ならば...「仮想世界」でやればいい。

甦生、と名付けられたこの続編に「リ・リローデッド」のようなものを期待すると、肩透かしを食らう。「若いもんには負けん!…なんて言えたらね」という、老いに対しての自虐めいたムードと、過去作に比べると抑えめなアクションシーン。これには評価が分かれるだろう。

自分は、断然支持である。
両親を亡くしたラナ・ウォシャウスキー監督が、その喪失を乗り越えるために大きく作用したという今作は、見えない脅威のせいですっかり変わってしまった「日常」に辟易している私たちにとって、仮想世界へと逃避する行為(すなわち映画を観る、ということ)そのものを肯定してくれているように思えて、嬉しくなったからである。

前3作を担当していたドン・デイヴィスの音楽とジュノ・リアクターのサイケトランスがなかったのが少し淋しかったのと、東海道新幹線っぽいヘンな乗り物を経由する意味がよく分からなかったのは、惜しいと感じた点である。あとキアヌが劇中サングラスを一度もかけなかったのは、「みうらじゅんっぽくなるのを避ける」という配慮だろうか?
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