「マトリックス」を完全に終わらせる。
それが、この作品にプログラムされた使命。
社会システムへの反旗として登場した「マトリックス」という伝説のシリーズは、時と共にシステムに取り込まれ利用されるようになってしまい、性差別主義者やレイシストによって利用され、気が付けば陰謀論の象徴として君臨することとなった。
そこで監督のラナはマトリックスをリセットし、本当に伝えるべきことをレザレクションズにプログラミングすることにした。
度重なるワーナーブラザーズの拝金主義的な続編要請を逆手に取り、超大作にはあるまじき哲学とメタ要素を入れ込み、ウィルスのようにマトリックス伝説に泥を塗りたくり崩壊させていった。
かつての設定は無かったことになり、象徴として君臨したキャラクター達は記号に成り下がって登場する。
突き落とされるゾンビ達はマトリックスを愛した我々をも殺す勢いで、眠れる羊には厳しい審判を下すという姿勢だけは1作目から変わらない。
最後に男性から女性に救世主がなり変わり、LGBTQの象徴たる「虹」を空にかけようと言う。愛が世界を壊し、新たな概念を示す。
そして、本作は記録的な大ゴケをして、見事にマトリックス伝説に終止符を打った。
そうして本当の意味でシステムを破壊し、マトリックスは本来の役割を果たしたのだった。
合掌。