豚を中心に鶏や牛などが住む牧場での営みを撮影した神秘的な映像美で捉えたドキュメンタリー。
ただ、ひたすら豚たちの生活をモノクロでナレーションと音楽を拝して撮られた映像は単なる動物たちの生活のはずが奇跡のような瞬間に見える。
普通の動物ドキュメンタリーならナレーションが入るのに、何も語られず長回しで撮られた映像には映画的なダイナミズムや哲学が宿る。
自分はYouTubeでやたらと動物の赤ちゃんが生まれる感動映像と無慈悲に他の動物に食べられる衝撃映像を見てしまう時期があった。なので、この作品はかなりど真ん中で、退屈になりそうなのに一瞬たりとも目が離せなかった。
最後に家畜の行末がフレームの外で決まり、残された母豚がカメラを見る時ドキッとする。人類に問いかけられた視線を胸に、また大好物のトンカツを食べる私がいるのだ。
