至高の映画体験だった。
スター・ウォーズもトップガンも超えた究極の体感を味わえた。IMAX鑑賞映画No.1かもしれない。「凄い」以外の言語が出て来ない。
前作は伏線張るだけ映画で凄いけど不完全燃焼だったのだが、今回は炸裂花火のようにエモーションが爆発し続けている。凄まじすぎてお腹いっぱいなのに恋愛描写がビターな味わいまで醸し出してデザートも完璧。大味に見えて繊細な味わいを計算した物語にハリウッド映画には珍しい後味を残す。
前作がアート志向なのに本作は徹底的にエンタメ。そこに挟む恋愛が正にスパイスになって善と悪では割り切れぬ権力と支配の構造が他の超大作映画とは違う危険なカタルシスを生み出している。
主人公ポールは殺した相手の魂に問い掛けることで道を正そうとする姿が最高にオリジナリティがあって感動したのだが、超自然的な力を手に入れた主人公に後半カメラは共感の目を向けない。
そこで逆転現象が起こり、悪役だったフェイド・ラウサが挑戦者にも見えてきて、善悪の価値観が揺らぐという危うい演出にゾクゾクする。もはや共感できない怪物となりつつある主人公を第3作ではどう描くのか?
そんなドラマティックな演出だけでなく、ドゥニ・ヴィルヌーヴらしい出生の秘密や血縁の因縁、母親の支配など「灼熱の魂」ってサブタイトルにしても通じそうなくらいの作家性も炸裂していて、ちょっと眩しいくらいに古典を自分のものにしている点にも脱帽。低体温でエンタメには向いてなかったドゥニさんがついに一皮むけ熱いエネルギッシュな演出を爆発させる。
現代社会に今一番やばい戦争のカタルシスを万人に伝える危うい超大作映画。全世界で大ヒットしてるのが恐ろしいのだが、それほどまでに魅力的なスパイスが香ってくるので、IMAXでやっている内に見てほしい。
「権力・戦争・支配」の危険な魅力を存分に堪能できること受け合いです。