KnightsofOdessa

Zirneklis(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

Zirneklis(原題)(1992年製作の映画)
3.5
[ラトビアのフロイト的サイコ・セクシャル・ドラマ] 70点

Vasilijs Massが残した唯一の長編。聖母マリアとして画家のモデルを務めることになった陶器人形みたいに美しい女学生ヴィタが、変態的な画家の登場によって表出することになった性的衝動に悩まされることになるという話。冒頭で"潜在的な性的欲望は恐怖感と密接に結びついている"という言葉引用される通り、フロイト的なサイコ・セクシャル・ドラマである。画家の描いた性倒錯的な絵画がそのまま動き出すグロテスクな幻想と、アンジェイ・ズラウスキ『ポゼッション』を彷彿とさせる蜘蛛による獣姦、全裸で死刑台に掛けられる妄想など特集性癖のオンパレード。そして、恐怖感を高めるために、お約束どおり叔母の所有する古城へとやって来る!ハレーション起こしてるくらい充満する柔らかな光と恐怖が齎す毒々しい陰の対比はもちろんのこと、三重写しも効果的に使われ、特に終盤で太陽が三つに増えるシーンなんかは"この世のものでない"感が凄い。この世のものではないクリーチャーとかも出てくるんだが、三つの太陽を含めた三重写し演出は最もシンプルにこの世と別の世界を接続した瞬間にも見える。全体的に清潔なジャッロ映画みたいな印象を受ける。ジャッロ映画が汚いという訳では無いんだが。
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