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郵便配達は二度ベルを鳴らすのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

3.3
ルキノ・ヴィスコンティ監督が、第2次世界大戦中のファシズム政権下に発表したデビュー作。
原題:Ossessione(意味:妄執)(1943)
原作はアメリカの作家ジェームズ・M・ケインの小説「郵便配達は二度ベルを鳴らす」だが、原作者の許諾を得なかったため上映禁止となり、アメリカでの公開はヴィスコンティの死後の1976年。日本は1979年。
イタリア・ネオレアリズモの先駆的な作品ともいわれる(ロベルト・ロッセリーニ監督の「無防備都市」(1945)をネオレアリズモの最初の作品とするのが一般的だが、ヴィスコンティは反ファシズム的な内容や屋外での撮影、素人役者の起用は本作が最初であると主張)。

イタリアのポー川近く。
トラックの荷台から放り出された流れ者のジーノ(マッシモ・ジロッティ)は、目の前にあった食堂に入り込み、店をけいえをするブラガーナ(ファン・デ・ランダ)の妻ジョヴァンナ(クララ・カラマイ)と出会う。
会った瞬間から情欲に駆られ離れられない間柄となった2人は駆け落ちしようとするが、ジョヴァンナはすぐ考え直して店に引き返す。
ジーノはそのまま旅立つが、夫婦と偶然再会。
感情を抑え切れなくなった二人は、ブラガーナを交通事故に見せかけ殺す…。

~他の登場人物~
・"スペイン人"と名乗るの旅芸人(エリオ・マルクッツォ):ジーノとの同性愛を伺わせる。
・若い純情な娘、ダンサーのアニータ(ディーア・クリスターニ)
・刑事:(ヴィットリオ・ドゥーゼ)

「馬のような肩ね」

「世界は広いと思っていたが、あの店より狭い」

「旅心は失せたんだろう。
一生旅はできない…もう、旅は嫌だ!」

「オレは悪人か?」

注目は、
・"店に留まろうとした女"と"別の地に出発しようとする男"の心理の変化。
・女が男に夫殺しを目で依頼し男が同意するシーンなどのカメラとヴィスコンティの演出

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」の映画化では、1946年のテイ・ガーネット監督作品(ジョン・ガーフィールド、ラナ・ターナー主演)がお気に入り。
1981年の性描写を売りにしたボブ・ラフェルソン監督作品(ジャック・ニコルソン、ジェシカ・ラング主演)はお薦めしない。
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