垂直落下式サミング

ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
アメリカンたちの「ハロウィンパーティのあとはお化け屋敷で決まりっしょ!」っていう感覚は、最後までよくわかんないのです。これは僕が社交の場に行きなれていないせい?
飲み会ほんと嫌。一次会の居酒屋でしこたま飲み食いしたのに、なんで二次会もつ鍋屋さんとか行くの?そもそも、一軒目のところにもつ鍋あったのに、ここのほうがウマイからとか、そんなん知らねーよ。焼酎も頼んじゃってやんの。一軒目なら飲み放題コースに含まれてたのに。不経済だ。
ハロウィンパーティでいろんなオバケみたんだから、もういいじゃん。次のお店で待っているのは、でこぼこお面の鬼たち。オバケなんて、シーツかぶってオバキューしたら一丁上がりってなもんで、あんまり凝りすぎるもんじゃないと思うんですけどね。
そんなこんなで、仲のいい友達たちが仮装パーティを抜け出して車を走らせるのだが、ずっと同じ車が後をついてくるような気がしてうしろを注視するとアミューズメントの看板に光がともる。
明らかに不可解なのに、その場のノリで得たいの知れないお化け屋敷に入館してしまう若者たち…。自分がガラス越しの安全圏にいるうちは、痛い苦しいの猟奇的残虐も驚かしエンターテイメントとして消費してしまうけれど、もしそれの暴力が自分等に向かったら…。不安をあおる冒頭が秀逸。
謎の施設に閉じ込められて、仲間が次々とやられていく系のおはなしとしては手堅い出来。最初、無用心に恐ろしい場所に足を踏み入れてしまうところは、観客とキャラクターが視点を共有しているから、これからどうなるんだろうと面白くみられる。
そのあと、サスペンススリラーとしての面白さを維持し続けられるかどうかが、作品の腕の見せ所。そらみたことかと一人目の被害者が出て、このお化け屋敷ヤバいぞとなった一行が脱出を試みるのだけれど、そこからが本番とばかりに迫りくるオバケ軍団と戦いながら、仕掛けられたトラップを掻い潜っての脱出ゲームに発展していくことになる。
被害者たちが疑心暗鬼のまま、敵の手のひらの上で踊らされてる時間が長いから、一刻を争う緊急事態だと察しているこちらからすると、中盤ややダレる時間が多い気がした。
唐突に事態が最悪に傾いて、一気に画面がハイテンションになってくれると嬉しかったな。もう10分くらい削って、勢いを増してよりいっそうサクッと。
スマートな描写だとは思わなかったけれど、異常な連中の組織図みたいなのもちょっとだけわかるようになっているし、一応は誠実にエンターテイメントとして勧善懲悪をうたっている。実直な作品だったと思う。