最高に美しい映画で、トリュフォーが絶賛するのもわかる、革命前夜のメキシコを舞台にした西部劇（？）　まじで、寓話的で水辺の女のｶｯﾄなどはルノワールのようだし、若い夫婦と1人のならず者の、男泣きの展開は、フライシャー『ラストラン/殺しの一匹狼』を思い出さざるを得ない。

老いた男と若い夫婦の三角関係、トリュフォー『突然炎のごとく』やフライシャー『ラスト・ラン/殺しの一匹狼』などにも似てるけど、アーサー・ケネディつながりでレイ『ラスティ・メン』を強く想起。落馬の勢いに差はあれど、かつては立ち去る側だったケネディが馬から落ちる側になる。

反復/差異。冒頭/結末の銃撃と落馬、穴の中の農夫、夜警と露天、プルケ/テキーラ、踊子/若妻、靴/裸足、首吊り、一人と馬二頭/二人と馬一頭、死にゆく仲間に向けた台詞/ボイスオーヴァー、冒頭の死/結末の死。

吉田広明はトリュフォーの『裸の夜明け』評について「ウルマーの傑作のほとんどを見ていなかったトリュフォーの評言が決定的にズレている(…)」「実のところ評というよりは、自分はこんな映画作家にこそなりたいのだ、という決意表明なのである。」と語っている。