このレビューはネタバレを含みます
嫌いではないし、演出と音楽のおかげで終始良さげな雰囲気を感じる。ただ個人的には良さげなストーリーのまま、最後まで「良さげ」な話で終わってしまった印象。
家族の中で唯一同じ人種の見た目のアンドロイドの"兄"を慕う妹。そんな兄的存在を無くした事をきっかけに家族がお互いを見つめ直していくというストーリーとしてやりたいことは分かるんだけども、アンドロイドが実は人間と恋をしていましたよーとか、博物館に寄贈されますよーとか、普遍的なテーマに対して、設定や展開がツイストしすぎててなんだか終始テーマがぼんやりしたまま最後を迎えてしまった。
そう思うと、やりたい事に対して、ポリコレ配慮のキャストをできるだけ詰め込んで、それありきでまたストーリーを組み立て直しましたみたいな印象のある映画。
坂本龍一の音楽力と柔らかい演出で、不思議な魅力と独特の雰囲気があると思うし、なんとなく文句の言いづらい映画にも思えるが、個人的にはもう少しストーリーに深く共感したかった。