対話劇として観たらすごく良くて、観てるこちら側も赦されている感覚に陥るので思わず世界中の幸福を祈ってしまうほどなんだけど、実際にあった宗教の話を基にしている上に明確なモデルがいる映画だとして観ればやっぱり問題の先送りに映画自体が加担してるように見えてしまうのでこの大きな宗教が抱える大きな矛盾を改めて突きつけられるようだった。加害者ばかりが赦されるべきではないと作中でもはっきりと言っているのに…。アルゼンチンタンゴも独裁政権の中で生き抜く苦しみも救済と祈りに身をやつすことも、おじいちゃん2人の諍いもいちゃいちゃも制度も革新もどれも好きなのに、その裏に流れてるはずの血と被害者の涙を無視することは到底できない映画だった。人はどこまでいっても弱くて無力な罪人なので、弱くて無力な罪人のままのうのうと歩き続けなければいけないという話。