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エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIEのgeminidoorsのレビュー・感想・評価

4.4
本作ドラマシリーズをまるで観た事が無かったが"ブレイキング・バッド"という題名はよく目にしていた。
で今回、以前からNetflixで"あなたへのオススメ"にしつこく挙がっていたので、素直に従い本作を観てみた。
正直、面白かった。2008年からこんな作品に多くの方が魅入っていたのかと感心というか感慨。
流行や話題の波から大きくズレる(遅れをとる)いつものワタシの蝸牛の歩みよ!
それも又ヨシ。
"Nihil novi sub sole."でもあるからして。

で本作品だが…
似た匂いの作品も沢山あるだろうし、ストーリーの骨格は至ってシンプルだし、爆発的盛り上がりカタルシス等そうは無い。
登場人物達の深みは、ワタシはシリーズを観ていないから、以前よりキャラクターを知る方達に比べて理解に乏しいだろう。
なのにこの映画の何処が良かったのだろうか…

きっと、"全く知らないからこそ"真っ新な面持ちで鑑賞出来たのも幸いしたのかな?

カメラアングルやトリミングや照明やのセンス、登場人物の俳優各々のどことなくズレた人柄というか醸し出された変な感じ?
謂わば作品全体のトーンみたいなもの…きっと好みの的を結構パシッ×2と撃ってきたから満足×1.5って処かしらん。

多くの作品が、ダークとかダウナーとかアチコチで割と簡単にカタカナ表現されている昨今だが、暗さだって色々あるよな〜
"光が在り、影が出来る"
絵画として喩えるならば解りやすい。

暗闇や暗鬱さ不安を表現するに至って、安直に"〜ブラック"(黒い絵の具の黒さもランプ、マース、オキサイドetc.実に様々あるんだけどね)を使うより、異なる色の重なりや周囲の色味との相関から感じさせる…謂わば"黒く見える色"を作り出した方が、なんというか…"素敵な闇"みたいな空間が作り出せたりするものだ。
其処に遥かに深みが有り、一つの重さや、奥行きというか、温かさが感じられたりするのだ。勿論、冷たさを含めた"温度"という意味で。

映画を観る時によく感じるのが、全編通しての場面場面に対する明度というか光の統一感への作り手のセンスの差異だ。
ストーリーや台詞ばかり追って早回しで鑑賞する方も居るというコノ御時世に、そんな光がどうこうなんて関係無いし〜と云われる方も居るのかも知れない。
だが併し知らず知らずして私達観る側は、その光加減やトーンや舞台の空気感に魅了されたり、逆に拒絶感を覚えたりして、つまりは凄く影響されていたりすると思うのだ。

"闇で事は成される(行われる)"
このケースって多いから。

闇が魅力的ならばこそ。
その後の明るい空や、海、大地や風や、話の展開が立ち上がる。立ち上がって、私達の内側に染み込んで来たりするのではないだろうか…





世間から大きくズレて、今からドラマシリーズを観てみよーと思う。
カミさんも期待満々みたいだ。本作観終えた時、好き好き光線を猫みたいな眼から発していたヨ(笑)

最終局の本作から観てしまったから、つまり結末を知った上でスタートを尋ね、一つづつ階段を登る訳だな…
実際の人生でそんな手段は先ず無いよな。
別れを味わい知っていて、初めの出逢った場所から歩み出す〜みたいな?
無いよね。映画鑑賞や読書ならアリな訳だナ。

それも又ヨシ。(←ジョゼ風に言う)
どんな刺激や感銘を貰えるのか、将又貰えないのか。
多忙な日々の隙間で又一つ"小さな楽しみが増えた"としておこう。
いやはや、観るって"大きな楽しみ"でありました。
っ失礼!
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