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アントラーズのHKのレビュー・感想・評価

アントラーズ(2021年製作の映画)
3.4
原題は"Antlers"。
私の場合サッカーに興味はないので、“アントラー”で連想するのはTV特撮『ウルトラマン』第7話「バラージの青い石」に出てきたクワガタとアリジゴクを足したような怪獣。
で、アントラー(ズ)の本来の意味は鹿の枝角のこと。

本作は日本劇場未公開ながらギレルモ・デル・トロ製作、『クレイジー・ハート』『荒野の誓い』のスコット・クーパー監督作品だと知って鑑賞することに。
謎の生物、子供、いじめ、虐待、監禁、惨殺死体、死体に人の歯形・・・
始終どんよりと曇ったオレゴンの田舎町が舞台の暗く陰鬱なホラーでした。

北アメリカの先住民に伝わる伝説の魔物“ウェンディゴ”がモチーフ。
この鹿のような枝角を持つ怪物が大人も子供も容赦なく無残な死体に変えていきます。
必要以上のグロ描写は無く最初から最後まで大真面目に不気味さをキープしているところは好感が持てますが、いまひとつ何かが足りず惜しい感じ。

登場人物も皆何かトラウマを抱えていそうな暗いキャラばかり。
ある生徒の異変に気付く女教師にケリー・ラッセル、この人何作か出演作は見ているようですが記憶にありません。
その弟の保安官を演じるのは一度観たら忘れない偽マット・デイモンことジェシー・プレモンス。
女校長はよく見ると懐かしや『ストリート・オブ・ファイヤー』『フィールオ・オブ・ドリームズ』のエイミー・マディガンでした。

この“ウェンディゴ”、以前読んだデビッド・マレル(『ランボー』の原作者)のホラー小説『トーテム』にも出てきましたし、ブラックウッドにも『ウェンディゴ』という小説があるようでなかなかの人気者のようです。
しかも実際に人肉が食べたくなるウェンディゴ症候群なる精神病もあるんだとか。
おそろしや。
アメリカ・メキシコ・カナダの合作。
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