Koshii

世界一不幸せなボクの初恋のKoshiiのレビュー・感想・評価

世界一不幸せなボクの初恋(2019年製作の映画)
3.7
さてさて、今夜は一風変わった恋愛ものをチョイス!

《情動脱力発作(カタプレキシー)とは、突然体の力が抜ける症状である。
怒り、驚き、恐怖といった感情の高ぶりが引き金となり、発症する。》

主人公のチャーリーも、同様の発作を引き起こす疾病(ナルコレプシー)を患っていた。彼の発作の引き金は、『喜び』であった。

彼が街を歩く際には、幸せそうに歩く親子も、可愛らしい赤ちゃんでさえも、危険因子であり、ヘッドホンから葬送行進曲を流さなければならない程であった。

ある日、そんなチャーリーに運命の出逢いが訪れる。彼は悩んだ末、「喜びに満ち溢れる恋愛」への挑戦を決意する!


以下、ネタバレや感想を含みます。












序盤の軽快なブラックユーモアが心地よく、すっと引き込まれました。お話としては単純で、疾病を抱えるチャーリーと、彼の理解者である弟のクーパー、現れる魅力的な女性のフランチェスカの三人の恋模様を描く。

多くの場面でクーパーに同情することになる。兄を一番に想っているにも関わらず、結果として利用されているだけだったし、「フランチェスカを愛していたのはチャーリーだ。」と言ってあげられる優しさも持っていたのに、常に板挟みで、やりきれない。チャーリーがいくら疾病を抱えているとは言え、わがままに見えたことと、フランチェスカも無理にクーパーを愛そうとしているように見え、それらが相まってクーパーを傷つけていたのだ。

三人の登場人物を、順々にフォーカスを当てようとする演出だった故に、クッション役としてのクーパーが一番苦労しているように映っていた。しかし、終盤の疾病の辛さをチャーリーが直接クーパーにぶつけるシーンからは、結局チャーリーの辛さをメインで描きたかったのかなと感じ、伝えたいことのブレを感じてしまった。

それならいっそ、情動性脱力発作のリアルをコメディの味付けなしで表現されていた方が良かったのかもしれないのだが、あくまでも、本作がラブコメ路線ということもあり、そうなるとテーマが重くなってしまうので難しい塩梅だとは思う。


全体を通してユーモアのセンスは好きだったし、「情動性脱力発作」について知る良いきっかけになりました!

クソガキを養子に!!
Koshii

Koshii