医者が誰のものとも分からない精子を顕微鏡で覗くと、そこではホッケー選手が忙しなく動いていた。悪夢のような観客席のないホッケー場で選手たちが動き回っているのだ。そして、その中のスター選手が頭痛により途中退場する。名前はガイ・マディン、20代の青年だ。『The Saddest Music in the World』のプレプロダクション中にスパッと撮ったという自伝三部作の一編であり、最高傑作と推されることも多いマディンの長編七作目。サイレント映画サンプリング的な手法を踏襲しながらもショットやカメラワークは非常に現代的であり、痴情は平時通り世代を超えて縺れまる。似たような『Careful』や『Twilight of the Ice Nymphs』よりも説明が難しいくらい。ちなみに、マディンはホッケー大好きで、父親がホッケーチームのGMだったというのは本作品の設定と一致している。