富井

フライング・ジャットの富井のレビュー・感想・評価

フライング・ジャット(2016年製作の映画)
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2022最初
インドのヒーローもの!元日に見た!

 公害を「環境問題」として捉えなおす姿勢と過去を顧みない視点に少し違和感が残る。大企業の社長が、自分の作り出したものがとてつもなく有害な怪物だと気づく。その怪物は社長に従順でい続けられるはずもなく、ついには彼の娘を病に至らせる。自分の過ちに気づいた社長は木を植えたり、切り落とそうとしていたシク教徒の大切な木に娘の生還を祈ったりする。重大な過ちをおかした社長は、健全な環境を取り戻そうとする人々と協働する。
 本作に、責任の所在が徹底的に追及された「公害問題」から、闘争のない協働を目指す「環境問題」への変遷を感じる。また、「皆で未来を見るべきだ」という正義が、過去の過ちや責任を有耶無耶にしている気もする。被害者の怒りの矛先には誰もおらず、その怒りすら見当たらなくなるのはやはり違和感がある。
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