アナーキーでドラッギー。見晴らしのいい高台に建つ豪邸が舞台。まずこのロケーションが素晴らしすぎて、ほとんど主役級。物語はあるのかないのか、壊れかけの家族関係が引っ越しを機にさらに崩壊、あるいは再生していく。
今日でこの家ともオサラバだ!という勢いに任せてホームパーティの開催宣言をSNSでつぶやく。次々に集まる見ず知らずの人人人(味濃いめ)だんだんと上がるパーティの熱気。箍がはずれ、ネジが吹っ飛び、ストーリーも崩壊していく。入り乱れる有象無象。コーヒー豆から生まれたクリーチャー、ボリウッド的な盆踊り、しゃべる猫、枝になった子供、目から光線を出す石像。
ここまで無秩序を許してくれて、さぞかし監督も気持ちがよかったのではないか。
制作会社も集まったキャストも技術チームもみんながよってたかってこのカオスを作り上げたのだと思うと笑えるし邦画の未来も明るく思える。まことに勝手ながら、こういう滅茶苦茶を誰かがやってくれないと私の中の精神的バランスが取れない。面白いとかつまらないとか無関係に。いとうせいこうが丁度いいくたびれオヤジ感で良かった。
絵本の『てぶくろ』『そらいろのたね』をなんとなく連想した。