むき出しの、若さ。
幻想的なカット割り、美しい風景、美しい人間、心の乱れ。。
明日に向かう、妹の全力疾走。
A24製作の映画には、毎度驚かされる。
且つ、共通する感情が湧き出る。
なんとも繊細で、静謐な気持ちになるある種のカタルシスさえおぼえるような(もちろん例外はあるが、、。)
どこか、夢うつつな映像の数々は本当にすんなりと心に入って来るのでなんの抵抗も感じないまま、2時間が過ぎる。
それに伴い、主人公や妹への感情移入も尋常でないものになっている。
だからこその、反感や心の荒れがよく分かる。
父への不満や、怪我への苦しみ、性の悩み。そこから、形を変えて現れる自分の反応。
環境要因で、ねじ曲がってしまったというのはあながち間違いとは言い難いが、結局は自己なのだ。
それにしても、主演のケルビンさんの荒々しくトゲトゲとした演技には目を見張るものがあった。多感で若さを前面に出しながら毎日を駆け抜ける様子を見事に演じきっていた。
逮捕直前の、動転様や気の焦りなど中盤のあのシーンはとても印象深い。
だが、1番びっくりしたのは予告とそれまでの予想とはかなり相反する内容だったということだ。
もっと、エモーショナルでラブストーリーなのだろうかと予想していたが本編は生々しく、人間味に満ち溢れた自分が大好きな類の一作だった。
また時間に余裕がある時に、再鑑賞したいものだ。