マインド亀

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEのマインド亀のレビュー・感想・評価

4.0
『トム・クルーズと運命の鍵』

●今や千葉真一、ジャン・ポール・ベルモンド、ジャッキー・チェンの系譜を継ぎ、60を超えてなお現役のノースタント俳優トム・クルーズの最高峰シリーズ、ミッション・インポッシブル最終章前半!期待通り楽しかったです!2時間43分!?もっと短く感じましたよ!!

●シリーズ最終章で過去作からのキャラクターも出てくるというので、敵がどういう組織のどういう因縁で対する存在なのかをずっと気にしておりましたが、敵はなんと奇しくも俳優組合がストをしているきっかけの一つでもある人工知能!
正直この設定を聞いたときは『AI崩壊』などあまたある近未来SF設定を想像してしまい、ちょっと嫌な予感がしたのですが、実際はAIの覇権を巡って出し抜き合いをする人間主体のサスペンスが中心で安心しました。
こういうのって、AIの表現バランスによっては滑稽になるのですが、AIが喋りだしたりすることがなくて一安心。「ワタシハジンコウチノウ…イーサン・ハント、オマエヲマッサツスル…」とか言われたらそれこそそれだけで漫画の世界になっしまいますからね…全く存在感すら感じさせないAIの不気味さを表現するために、モニターにぐんにゃり映るキラキラしたスクリーンセーバーみたいなんも本当はいらないくらいなんですけどね。

●とにかくそんなAIのはびこる映画界の異分子として、己の体で勝負するトム・クルーズのアクションはなんせ、「ストーリー解らなくても楽しければ良し!」精神で、めちゃくちゃ面白かったんです。本当にスゴイアクションを観ると笑っちゃうんですよね!

●ですが、こんな楽しい映画を観ながらも、さみしいことに頭の中から別の映画のことが離れなかったのです…
そう、それは一週間前に鑑賞した、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』!もうね、これほとんど内容が被っちゃうんですよね…
両作とも2時間半超えという長尺の作品というのも共通していますし、マクガフィンの奪い合い、過去の因縁という話の骨格はもちろんなんですが、もうアクションシーンがモロ被っちゃってるんですよね。小さい車で走り回る(トゥクトゥクとフィアット)カーチェイスアクションも、正直こちらのほうが圧倒的に上。手錠を使った制限的な状況の運転の面白さや、チョロQのようにドリフトで回転しまくるフィアットのコミカルさも館内に笑い声が響くくらい楽しかった!
また、インディでは冒頭の列車アクションが、こちらの作品ではラストの方ですが、こちらももう笑っちゃうくらい本作のほうが面白かった!もうね、延々列車を落とし続けてほしい!こんなテレビゲームほしい!そんな感じです。列車の屋根上アクションもモロ被りですが、思わず頭を動かしてしまうようなアクションでした…アクションの中のユーモアというか、バスター・キートン的な滑稽さがないとだめですよね…そのへんがスピルバーグに備わってるものだと思うわけです。
また、ヒロインが女盗賊で丸かぶり!正直、俳優としての濃さとしては、インディのフィービー・ウォーラー=ブリッジのほうが上だと思うのですが、キャラ設定はこちらのヘイリー・アトウェルのグレースのほうがちゃんとしている。盗賊としてのアイデンティティと世界を救う立場としての葛藤が描かれてる上、その選択にしっかりとした裏打ちがあります。
(まあ、グレースをなんでみんなで守ってるのかよくわかりませんが、私は断然、独眼竜イルサ推し!)
もうね、インディで不満だった部分を、こちらで解決してしまっているという、なんだかシンクロした上映の連なりだったのですが、このミッション・インポッシブルが、インディジョーンズだったらなあ……そんなことを考えてしまうのです。

●ミッションインポッシブルの感想がインディの不満ばかりになって申し訳無いのですが、トム・クルーズはインディ最新作を見て逆に、「俺はまだハリソン・フォードの年齢までやれる!」と奮起しているそうで、ひょっとしたらまだまだ続編が観られるかもしれませんぞ!という良い相関関係を垣間見たのでした!がんばれ!そしてドルビーシネマで観られて良かったです!ストーリーのことは気にすんな!

●追伸
そうそう、良い忘れてました!ポム・クレメンティエフ!これは当たり!ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのマンティスでは特殊メイクで素顔がわからなかったのですが、このゴス感あふれる殺し屋は最高!ひらひらしたスカートの殺し屋って今までに無くて、フェミニンさをかっこよく演出していて斬新でしたし、謎の組織の殺し屋として、ある意味無国籍なキャラクターの、恐らく複雑なバックグラウンドが想像されるところが良かったです!スピンオフ希望!!!お願い致します!!

TOHOシネマズ二条 IMAX鑑賞
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