今泉力哉監督とあって期待通りの傑作。終始大きな事件は起きないが、淡々とした日常の中の細かな恋愛模様が丁寧に描かれている。とりわけ“告白”という、ある意味日常においては事件ともいうべき行為にフォーカスしていて、告白という行為を通じて登場人物それぞれの恋愛観が交錯して物語が展開されていく感じが今泉監督らしい。ともさかりえのシーンだけはホラーなのだけど、妙に説得力あってさすが。告白とは付き合うための単なる前工程でなく、誰かにとっては決別であったり、自分の思いを伝える文字通り告白であったり意味合いも様々だなと。
なかなか難儀なテーマを描いているものの作品自体は爽やか。そしてなにより、終わり方が最高にクールで清々しい。蛇足なエピローグで損をする映画が多い中、この映画は百点満点。痺れた。
田中圭のファンムービーと言うにはもったいない出来栄えだが、田中圭のポテンシャルの高さも言わずもがな。おしゃれな花屋を演じ、花を愛でるそのひとつひとつの所作に嫌味がなく、いちいち画になってしまう。それはモテるよなと納得してしまった。また、岡崎紗絵が昔ながらのラーメン屋を1人で切り盛りしているという浮世離れな設定もただただ良かった。
