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ダンサー そして私たちは踊ったのogのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

同性愛者とわかった瞬間に仲間が別人に変わり突然差別を受けたり、急に恋人が理解できない存在へ変わってしまうの、この映画の中では目に見える描写としてはそこまでシビアに描かれていないけど、それでも見ていて心苦しい。彼らの会話の端々に出てくる、姿の見えないザザという人の存在で、問題の根深さを伝えてくる。世間話のように語られているのが逆にショッキングだった。
兄のダヴィドはたびたび衝突していたけれど、兄は彼を差別せず、舞踊団全員とケンカをして弟を守ってくれようとする。「お前の名誉を守ろうとした」という発言自体差別の意識が残っているからなんだけど、兄なりに弟のことを受け入れようとしてるんだよね‬。救われた。
‪兄弟の会話のシーンで、トムアットザファームを思い出したな。弟を思うが故の不器用な兄の行動‬。

ジョージアという土地のことを何も知らずに見てたんだけど、車窓から映る街並みが寂しくて、豊かな場所にはとても思えなくて、なぜかその街並みを見てたら泣けてきたんだよな。その後、兄がメラブに「お前はジョージアを出ていけ。ここには未来はない」と伝えていて、ああ、この感覚は間違いじゃなかったのかもなと思った。

‪兄がダンスを諦め結婚するのもまた現実で、それを悲しむのは他人の傲慢な気がするんだよね。才能があろうがなかろうが、人生で何をするかは自分が決めて良いもので、他人に評価される必要はない‬。

ジョージア舞踏そのものが有害な男らしさの補強になってしまっているけれど、ラストシーンのメラブのダンスが現実にまで影響を及ぼして、映画の中から現実を変えていくことができたら良いのにと思うが、伝統の壁は高いのだろうか。
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