このレビューはネタバレを含みます
なんとなく想像してたのと全然違う話でびっくりした。
キム・ヨンホの人生は美しかったのか?時代のせいもあるが大体自分のせいでもあり、そのどうしようもなさを、スニムに面会して美しかった頃の人生を思い出すことで受け止めきれなくなったんだろうな。
警官時代にすでに別人のようって言われてたけど、別人になってからの方が長かったので、最後のピクニックのシーンでようやく得心した。かれんな花が好きだった青年ははやくにいなくなってしまったんだなぁ…という寂寞感。
時折脚をかばうような仕草をするの、精神的に負荷がかかると痛みが出たりうまく動かなくなったりするんだろうな。どこかでそんな描写あったっけと思いながら遡って行ったらキム・ヨンホにとって人生で最もトラウマとなる出来事だった。
本当は人を傷つけたりしたくないのに、他人を傷つけることで自傷し続けているような人生に見えたな。殺してしまった少女への償いを終えられず、幸せになる権利を失効してしまったように感じて自滅的な人生を過ごしてたんだろうな、自分に優しくできなくなったので、当然他人にも優しくできるはずがなく。
キム・ヨンホが妻の祈りを聞いて居た堪れない気持ちになってるの、やっぱり神が許したとしても自分自身を許すことができないからだろうな。はからずも同日に見たヴァチカンのエクソシストとの共通点があった。
しかし男の罪の犠牲者が女、女、女すぎない?男のために女を犠牲にしすぎだろ、映画よ。
兵役、警察、経営者という有害な男らしさMAX値を振り切るような人生を送ってくる中で本来の優しさを失ってしまって行ったんだろうけど、女が犠牲者になり、女にケアを求めてるのが本当に救いようがないというか…。自分は浮気してんのに妻の浮気は許さないとか典型的すぎて呆れちゃう。
もちろんキム・ヨンホの悲しさも、社会や時代のせいだというのもわかるんだけど「結局自業自得じゃね〜か」に行き着いてしまうんだよな。もっとセルフケアをしろ、そして男としての名誉以外の、女以外の拠り所を探せ。
最後に心配してくれたのは旧友だったし、スニムに会わせてくれたのは彼女の夫だったでしょ。そこに救いを求めることはできなかったのか?助けてくれと言えなかったのか?