向日葵

ロストガールズの向日葵のレビュー・感想・評価

ロストガールズ(2020年製作の映画)
4.0
実際の未解決事件のノンフィクション物語

最終的に10-16の女の子の遺体が見つかった事件。
三姉妹の長女は躁うつ病で里子に預けられる。母はそれを次女三女には伝えず、仕事と育児の両立で忙しい毎日を送る。

そんなある日長女シャナンの行方不明が伝えられる。
そこから家族揃っての捜索が始まる。

ニュースでは「売春婦」と言うことだけがピックアップされ次々とシャナンと同じくらいの女の子の遺体が見つけられる。警察はシャナンのSOSにも家族の捜索願にも真剣に向き合おうとせず大規模になってからやっと足を動かした。

最終的にシャナンの遺品だけが見つかっているという状態。彼女の母はシャナンや亡くなった女の子達ばかりを責める世間や、偏見で動かなかった警察に向け彼女達の正義を見つけ真相を突き付けるまで戦い続けると公言している。それと共に、娘や友人のSOSに気付かず、手を差し伸べなかった自分たちにも非があり同罪であると。

次女は「私も同じ。ただ愛が欲しかった。まだ私はいるよ。」と母親に伝える。また三女も総合失調症として事件後精神的に病を抱えて行くこととなる。

母親も娘たちも被害者も遺族みんな一生懸命だった。でも不器用で大切なことを忘れていた。彼女たちは人一倍一生懸命生きていたそんな彼女たちを叩き「売春婦」という偏見だけが残るのはおかしい。善人の仮面を被り続ける犯人、野次馬、社会、私たち。裁かれるべきは殺された本人ではない。犯人含め叩くことを許す私達なのかもしれない。

この作品は遺族の胸のうちや苦しい現状を深く一作にしている。

スケールやこだわりにおいてはノンフィクションという事で映画館を使用する上では求めるものはないかもしれないが、この残虐な事件は後世に受け継がれ同じことが二度とないよう、胸の内を残していかなければいけない作品だと感じた。
向日葵

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