にく

上海要塞のにくのレビュー・感想・評価

上海要塞(2019年製作の映画)
1.9
タン・ファータオ『上海要塞』(19)。怪獣こそ出ないが、ガジェットやコスチューム、司令部のデザインを見ていると、平成ゴジラ・シリーズを最新のVFX技術でやり直した感あり。世界設定と宇宙船は『ID4』。しかし一切説明がなかったけれど、あの宇宙から来ている方々は一体どこのどなたなんでしょう。
 世界の中心=上海に住む将官クラスの男女の物語で、現在の中国の社会問題を隠喩的に表現する気など更々ない。いや、「お国の為」に自己犠牲を強いられ恋愛すら碌にできないエリート層の悲哀を描いたとはいえようか。完全悪としての宇宙人(なのか?)も挙国一致体制を作る為に必要な仕掛けなのだろう。
 ということで、格差社会や貧困問題を見事に視覚化し、(血のつながらない子供、「女装」する「男声」ロボットを登場させ)血統主義や性差をも相対化した『スペース・スウィーパーズ』を観た後ではがっかりする要素しか見出せませんでした。まぁ、CG技術とかも含めて、さらに負けてますけどね、邦画は。
 やはり皆、もう少しヴァーホーヴェン(『スターシップ・トゥルーパーズ』)を見習うべきだと思う。
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