にく

陰陽師0のにくのレビュー・感想・評価

陰陽師0(2024年製作の映画)
1.1
佐藤嗣麻子『陰陽師0』(24)。十世紀の極東世界に「深層心理」なるものが果してあったのでしょうか。フロイトはその時代にはいないし、いた所でその影響力が「日本」に届くはずもなし。平安時代における「無意識」とは何ぞや。せめて「胡蝶の夢」程度の話を持ち出せる教養が監督にあればいいのですが。
 ああ、でも、そもそも原作で「深層心理」とか「無意識」とか言ってたらごめんなさい。そのときは原作者(夢枕獏)を責めます。そんなことはないと信じたいですが。
 「呪いの舞の力によりて皆無意識の中に引きずり込み」/「無意識の世界の中で、過去の記憶に迷い込んだ晴明は、博雅の笛の助けを借りて」/「無意識の壺から逃げ出した毒虫を」/「ここは、人の心の奥深く、深層心理の世界だ」。少なくとも、ノベライズ版(2024年、文藝春秋)では言っていました。
 夢枕獏『陰陽師』(91、文春文庫)を見る限り、流石にその様な「心理」描写はありません。
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