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ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男のMALPASOのレビュー・感想・評価

4.0
映画『ダーク・ウォーターズ』

主演・プロデューサーのマーク・ラファロ自らが映画化を進めた環境汚染問題。巨大企業、化学メーカー・デュポンが40年間隠蔽し垂れ流してきた有毒物質をめぐる弁護士の闘いを描く。

監督は人間を描くのがいつも素晴らしいトッド・ヘインズ。主人公のうちにある葛藤や悩みを演出のは天才的。ディランを6人の俳優が演じる『アイム・ノット・ゼア』という怪作もありましたが。

マーク・ラファロが出演した『フォックス・キャッチャー』。レスラー兄弟のスポンサーだったのが、デュポン財閥の御曹司。マークが演じた『アヴェンジャーズ 』のハルクは化学実験中の事故で変身。なんの因果か、今回はデュポンの有毒化学物質と闘う。

1998年のオハイオ州。夜中に川を泳ぐ若者、それを照らす謎のボート。『ピラニア』か『ジョーズ』のようなオープニング。そこから次々と数分ごとに明らかになっていく真実。主人公が動く度に驚きが待っている。テンポ良く進むサスペンス。エンタメとしてもワクワクするリーガル・ドラマ。主人公は弁護士なのに、法廷シーンは少なめなのもいい。

思わず家にあるフライパンの材質を確認してしまった。

巨大企業や弁護士事務所の考え方が象徴されているかのような、高層ビルの上から小さな人を見下ろすカット。そこから主人公が被害者側に寄り添って行くという展開。その被害者はコンクリートじゃなく土の上自然の中で生きている。

前半に♪カントリー・ロードが流れる意味。子供の頃、家族で出かける時に親がよく聞いていたジョン・デンバー。なんだか懐かしい。
ーその歌詞は
まるで天国 ウェストバージニア
ブルーリッジ山脈 シェナンドー川
古からの暮らしがそこに
木々よりも古く 山よりも新しく
そよ風のように育まれている
カントリーロード 故郷へ連れて行け
僕が居るべきあの場所に
ウェストバージニア 母なる山
故郷へ導け カントリーロード

エンドロールもまた象徴的なトム・ペティの♪I Want Back Down のジョニー・キャッシュのカバー。これ911後のチャリティてコンサートでトムが歌って、その後もよく流れていた名曲。

そうさ、俺は引き下がらない
俺は引き下がらないぜ
どんなに窮地に立たされたって
それでも俺は引き下がらない
俺はこの大地に立ってるのさ
振り回されたりしない
この世界に引きずり倒されたりはしない
ここは俺の場所さ
俺は一歩も引かないぜ
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