MasaichiYaguchi

種まく旅人~華蓮のかがやき~のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.4
「種まく旅人」シリーズ第4作では、石川県金沢市の伝統野菜・加賀れんこんを題材に、今の日本の農業が抱える様々な問題やこれからを家族や重要な担い手である女性からの視点で描いていく。
映画でも問題の一端が描かれたが、離農や高齢化による従事者の減少、食料自給率の低下、耕作放棄地の拡大、海外の安価な農作物の輸入、更に追い打ちを掛けるような自然災害の発生がある。
そして農業に対して未だにきつい、危険、稼げないという「3K産業」というイメージが強く残っている。
このシリーズは、そのようなイメージに囚われず、自分視点で農業に向き合い、明るい未来を掴もうとしていると思う。
本作では主演の栗山千明さん演じる農林水産省の官僚・神野恵子と、平岡祐太さん演じる実家が金沢れんこん農家ながら、その稼業を嫌って大阪で信金マンとなった山田良一という二人が物語を牽引する。
神野恵子は上司から様々な問題を抱える農業を改善するヒントを得るよう、れんこん農家視察で金沢に派遣される。
そして山田良一は役所勤めの彼女と結婚間近なタイミングで実家の父が脳梗塞で倒れた為に急遽帰郷する。
帰郷した良一を待ち受けていたのは、実家が借金で火の車状態でれんこん畑を売るか、れんこん農家を引き継ぐかという究極の選択。
良一の実家がこのような状況になってしまったのは、今の日本の農家が直面する問題によるもの。
一方、神野恵子は平山祐介さん演じる新しいれんこん農業経営者の在り方にヒントを得ていく。
やがて恵子と良一は出会い、夫々が抱える課題に向き合うことになる。
果たして紆余曲折の末、良一はどのような結論を出すのか?
そして良一の決断を含め、恵子はそこにこれからの日本の農業の道筋をどう見出だすのか?
我々が思った以上に日本の農業は変わりつつある。
その変化を今後このシリーズがどう描いていくのか楽しみです。