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情事のsのレビュー・感想・評価

情事(1960年製作の映画)
4.0
愛の不毛三部作の第一作『情事』。アントニオーニのミューズでかつての恋人だっただけあり、モニカ・ヴィッティを映すカメラの瞬間の美しさは素晴らしい。彼女の醸し出す美しさに心を救われつつも、同年公開の『甘い生活』さながら今作も退廃的で空虚なアヴァンチュール劇と行き場のない愛(めいた愛)が繰り返し浪費され、大量生産大量消費されゆく「愛してる」の囁きにはもはやがっかりしてしまう。
節操のない女たらしの男は愚かでしかなく、いつまで経っても満たされない、偽りの愛による充足感を永遠に求め続ける女もまた愚かだ。どんだけ自分が異性にとって価値の高い生き物だと思っているのだろう…。
行方不明となった恋人の行き先どころか生死も明かされず二人の行く結末も分からない愛めいた愛の愚かさ。人生においての無駄な時間。残骸を片付ける時に気付く愛の不毛。そんなものに縋り付く人生はまっぴら御免だ。
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