情事の作品情報・感想・評価

「情事」に投稿された感想・評価

映画は総合芸術ではなく、引用芸術である。俳優、その身体、衣装に美術、風景諸々、それに「不在」。アントニオーニの映画において、「不在」は存在する。無人島に行く前に恋人のサンドロを迎えにくとき、アンナは親友のクラウディアに仕事で不在にしがちの恋人に一ヶ月の間会っていないことの苦しみとは矛盾するある種の気楽さもある、相手を好きに想像しうると語る。そして、無人島ではサンドロに別れではなく、一ヶ月と言わず、もっと長い間会わずにいた方がいいのではないかと言い、陸からは孤絶した無人島で失踪する。クラウディアのカバンにお気に入りの自分の服を忍ばせて。その服をアンナを探すために無人島で一夜を明かしたクラウディアが着ることになるのだが、クラウディアはここで「不在」を身に纏っているのだ。至るところにアンナの「不在」、アンナだけではないクラウディアの、サンドロの「不在」がある。(当然、無人島の「不在」も。アンナが「不在」なのは死を与える他者がいないからだ。無人島も他者が誰もいなければ、死ではなく、「不在」である)余白を多く含ませるロングショットや構図に、ひとりでいるときのクラウディアやサンドロのすぐ傍に。愛の「不在」すらここにはある。「不在」があるだけではない。「不在」は反響する。ブラインドに閉ざされた部屋にクラウディアが呼びかける声は反響し、教会の屋上での鐘は自身だけではなく、隣の教会の鐘をも打ち鳴らさせて、反響する。これほどまで「不在」を引用できる映画作家が他にいるだろうか。アントニオーニは「不在」の存在論を刷新する。
324

324の感想・評価

4.0
ままあるタイプ。アントニオーニにしては好きではない方。男が露骨でモニカ・ヴィッティのアンニュイ度低め。
相変わらず均整のとれた構図の静のイメージの中に、今回は特にプロペラや髪の動的イメージの印象が強い。
ミケランジェロ・アントニオーニ監督は、なんとなく苦手感があったのだが、この映画は引き込まれてしまった。
何より、モニカ・ヴィッティの美しさに見惚れて、眼が釘付けになる映像。
また、風景や建物を切り取るショットの見事さ。素晴らしい。
2時間16分が、あっと言う間であった。


物語は、海に行くサンドロなる男、そしてサンドロの恋人アンナ(黒髪)とその友人のクラウディア(モニカ・ヴィッティ)。
ほぼ無人の島で、アンナが行方不明になる。アンナの捜索が行われる。
そうした彼女(アンナ)の捜索中に、クラウディアに言い寄るサンドロ。そしてキスする。
クラウディアは戸惑い、サンドロから離れようとする。汽車に乗り込むクラウディアを追いかけて汽車に飛び乗るサンドロ。
二人でアンナ探しの旅に出かける、ように見えるが、実は二人のラブ旅行となる。
クラウディア曰く「あなたは、三日でアンナを忘れられるの?」。これは、自分にも、最後に降りかかってくることになる。
そして、本格的に愛し合う二人。
めちゃくちゃに色っぽい映画となってくる。
とある町に行った時、男だらけの街中で、クラウディアに突き刺さる男達の視線。
クラウディアを裏切るサンドロ。
二人で泣く。

この映画、男女の愛の過程、はかなさを謳った現代的な傑作!
2018年4月4日
VHSで昔 録画していたのを見ました。
僕の映画に対する考え方…
その後の人生…
そんな大げさな時間が、この作品にはあると思います。
otom

otomの感想・評価

4.5
とりあえずクズが多いのは置いておく。恋人であり友人である女の失踪の後に相思相愛になったのなら放置でいーんでないかいとも言えなくはない。が情事を行った者が理解できる寝とった私の因果応報的不安感とやたらと美しい構図はかなり効果的。良作。
SOE

SOEの感想・評価

3.5
アントニオーニにしては意外とストレートな内容でした

女性目線の映画ですね

あの終わりかたはグッとくる
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

4.0
‪「情事」‬
‪アントニオーニ作品の中で一番好きな本作は愛の不毛3部作の1作で数人でクルージングの旅を楽しむ中1人が姿を消す…そこから始まる微妙な感情と幻影に苦しみながら愛が始まる…主演のモニカヴィッティの美貌と孤独な雰囲気と厭世的な全体像は何とも言えない。今観ても通じる虚無感ある作風だ…‬
yadakor

yadakorの感想・評価

4.0
VHSの粗さのせいかもしれないが、字幕の文字が白すぎてよく見ないと何が書いてあるのかわからない
しかしイタリアの映画は結構肌に合うかもしれぬ 女優、服、景色、イタリア語なんかが良い とくに女優モニカはたまらなく色気あるのに、仕草や笑い方には少女の影も見える
MegmiTanak

MegmiTanakの感想・評価

4.2
ラスト、男女2人の引きの後ろ姿。右側は重々しいコンクリートの壁、左側は広大な自然、と半分でくっきりと分かれている。永遠に理解し合えないであろう”男”と“女”という対照的なものを表しているかのように。
無意識に憧れていた親友が失踪し途方にくれるも、新たに見つけたロマンスに最初は戸惑うも少女のように夢中になっていくのは女。恋人が失踪し途方にくれるのもつかの間、その親友に執拗に言い寄り、心を掴んだもすぐに裏切るのは男。

永遠にお互いに理解ができないだろう。だがしかし、これこそが男の、また女の真実なのである。この映画はアントニオーニによる”男女の縮図”と言っても過言ではない。
本日9月29日はイタリア映画界の巨匠ミケランジェロ・アントニオーニ監督の生誕105周年!

彼が48歳の時、後のパートナーとなる当時29歳のモニカ・ヴィッティを主演に迎え監督した大出世作「L'AVVENTURA(冒険)」

外交官の典型的な奔放令嬢アンナが婚約者含む仲間たちとシチリア沖をクルージング中、
立ち寄った岩壁の孤島で忽然と姿を消すミステリーからテーマは刻々と姿形を変えていきます。

この"不在ないしは実在"のドラマはヒッチコック監督の「レベッカ」や「めまい」とも類似するモチーフが用いられているわけですが、
後半からはアンナを捜索する道中に婚約者サンドロとアンナの親友クラウディアとの背徳的な情事が展開。

アントニオーニ「愛の不毛シリーズ」の第一作目と称される本作は、
不可解かつ不明瞭な男女間の"愛"を主軸に、現代社会のモラルの崩壊、醜悪と痴情にまみれたブルジョワ階級への揶揄、更には北イタリアの気質を色濃く反映させた革新的な重要作に値するのです。

そこに映し出されるのは、倦怠と不安の中で"愛"なるものを貪る人々の姿。
圧倒的な美貌を有するモニカ・ヴィッティことクラウディアには男たちの熱い視線が注がれ、その秋波の送り方が北イタリアと南イタリアで全く違うのも見所のひとつかと。

常にどこか寂寥感が漂うシーンは二人の機敏を巧みに表現し、クラウディアのか弱い健気さが一層サンドロのすけこまし具合を助長させてくれます。

また唯一クラウディアが明るく浮かれるシーンは「赤い砂漠」でも再現され、一層の虚無感を演出する効果となっています。
愛を通してアンナの存在がクラウディアへと成り代わっていくことは謂わば"ペルソナ"的とも取れ、
あらゆる解釈の余地が残される数々の仕掛けはアントニオーニの偉大なる功罪と云えるでしょう。

そして一部の隙もない演出とどこまでも完璧な構図は、今もなお我々を魅了して止まぬ名画の貫禄を漂わせるのです。
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