櫻イミト

フランケンシュタインの復活の櫻イミトのレビュー・感想・評価

3.5
ボリス・カーロフの本家フランケンシュタイン3部作最終作。古城ホラーマニアの間でカルト的な人気を誇る1本。「ヤング・フランケンシュタイン」(1974)の元ネタ。

フランケンシュタイン博士の死後、その息子ウォルフは科学者となり妻子を伴って古城へ帰って来た。父の研究室に足を踏み入れると、留守の間に住み着いていたイゴール(ベラ・ルゴシ)という男が現れ地下の納骨室に導く。そこには永く仮死状態にある怪物(ボリス・カーロフ)が横たわっていた。。。

期待していた古城はゴシックなものではなくドイツ表現主義を強く意識した影と歪みのデザインで、カルト人気があるのも納得の仕上がりだった。撮影画角も凝っていて前半は映像を観ているだけでも楽しめる。シナリオ演出も続編として理想的な滑り出し。さらに劇伴もホラーにふさわしい出来映えで、これはかなりの傑作なのではと期待したのだが、中盤に怪物が復活してからは息切れしたのか全体的にトーンダウンしてしまった。

非常に惜しいが、とにかく中盤まではパーフェクト。影を使いまくった画作り、異様なデザインの古城、見世物的な魅力あふれる復活実験は一見の価値がある。元祖ドラキュラのベラ・ルゴシとボリス・カーロフの共演も見所。意外に知られていない本作だが、もっと観られても良い一本だと思う。

※1937年にホラー映画制作の幕を引いたユニバーサルだったが、映画館からのリクエストにより1939年の本作をもって再開した。
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