ちょげみ

羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来のちょげみのレビュー・感想・評価

3.7
あらすじ
森が開発され、居場所を失った猫の妖精シャオヘイは、都市での生活で人間達に追い立てられるが同じ妖精のフーシーに助けられる。
フーシーに連れられて人里から遠く離れた島にやってきたシャオハイは、そこでフーシーの仲間の妖精達に迎えられて平穏な生活を送る。
しかしその島にフーシー達の不審な動きを嗅ぎつけた人間ムゲンが侵入し、フーシーはムゲンに連れ去られてしまう。
ムゲンはシャオヘイと共に、人間と妖精が共存して暮らす「会館」に目指す。
かねてからある計画を練っていたフーシーらは、ムゲンの目的地に先回りし、シャオヘイ救出作戦を実行する。。。


開発が進み森の妖精達が住処を追われる中で、人間と妖精、両者の"居場所"を確保し、かつ双方が納得する方法で落とし所を見つけるためにはどうすべきか、という事に切り込んだ作品。

今作品は、開発が進む中国を舞台に、自然との調和と開発のバランスの保ち方、また、同類の妖精族か、あるいは好意を持った人間と共に同じ時を過ごすかというコミュニティの所属のあり方を問うています。


コミカルなシーンも多く、戦闘シーンも『ナルト』を想起させるようなスピーディでダイナミックな感じで描かれています。
"動"と"静"の緩急を自在で、プロットもよく練られているので最後まで退屈せずに視聴することが出来ました。 
線が太く、キャラクター造形も動物の原型に近いキャラが多いので、一昔前のアニメを思い起こさせます。

人間が自然を無秩序に奪い、わがものにしたことが原因で自然から手痛い報復を受けるというストーリーは、ジブリ映画を想起させます。
しかし自然の怒りを買い、それがなんとか解決するも、その出来事があたかも偶発的な事件で今後も同じようなことが起きる事がない、あるいは起きてもまた解決できる、みたいな楽観的な展望で物語を締めくくっているように見えました。
もう一度自然と向き合い、今後のあり方を今回の事件で学んだ教訓を元に決める、というシークエンスが欲しかったかな。


自然を彩り豊かに麗しく描いていて、都市を
無機質で硬質感を持って描いていた点では宮崎駿に近い作風で、近年日本アニメ映画市場を席巻している新海誠の、都会を綺麗に描く作風とは真逆に近い位置にあるなぁと感じました。
ちょげみ

ちょげみ