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約束の宇宙(そら)のりのネタバレレビュー・内容・結末

約束の宇宙(そら)(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

我が子と約束した母親が宇宙へ行くくらいにしか思ってなく、レビューが良いから観とくか位の気持ちで観に行ったら、めちゃくちゃ良くてビックリしました!宇宙飛行士の映画って大抵が宇宙に行ってしまってからの映画が多いですが、この映画は違う。

子供の頃からの夢を叶えようと努力してきた女性。ようやく宇宙に行けるチャンスがやってきたが、様々な問題が浮き彫りになる。地球を離れている間に幼い娘の世話をしてくれるのは、元旦那しかいない。娘は不安で母親を恋しがり、また母親も夢と娘への愛情の間で思い悩む。訓練は厳しく、チームメイトの男たちからが女性というだけで疎まれ、一度は心が折れそうになる。
だがいろいろな困難を乗り越え、チームメイトとも心を通わし、ようやく念願の宇宙へ飛ぶ準備は整った…

かつてこんなに丁寧に宇宙飛行士が宇宙へ行くまでの努力や葛藤を描いた映画があっただろうか。
久々のマット・ディロンと思いきや、女性を嫌う男性役かと感じたが、衝突もあり、優しい一面も見せたりと段々と信頼するクルーの一人として認めていくくだりがとても良かった。互いに子を持つ親として気を遣う一場面とても好きだ。
そして『重力を楽しめ』という言葉の意味。
私達が当たり前に生活して見たり聞いたり感じていることが、宇宙では一切なくなるという事。あのシーンを見ていると、とても地球が愛おしくなってしまった。実際の宇宙飛行士の感覚を、映画を通してほんのひと時でも疑似体験させられた。
SF映画は数多くある。だがここまでリアルに体感させる映画は滅多にない。
夢と現実、宇宙と地上、自分と家族、そんないろいろなしがらみに耐えながらも、宇宙飛行士たちは宇宙に飛び立つのだ。そして未知の世界へ羽ばたこうとする愛する人を送り出す家族。寂しさと愛しさと誇りに思う気持ちで。

とてもとても良い映画だった。
愛がたくさん溢れる美しい映画だった。
(一部、え!っていう場面がありましたが、そこは映画だもんね。母娘の絆を描くものとして私は受け止めました)

エンドロールで紹介される数々の女性宇宙飛行士の皆さんも、類稀ない努力をしてきたはず。尊敬しかありません。
素敵な映画を観た自分も褒めちゃう!
宇宙に夢見る人達には特に観て欲しい映画です。
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