鈴木徹

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームの鈴木徹のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

めーちゃくちゃ面白かった。

冒頭からの映像表現は流石ドクター・ストレンジとFFHを作っただけある。

マルチバースの展開もどうなるかとなってたけど、まさかとは思ったけどスパイダーマンの集結がついに見れるとは!このメンバーの集結は、例えば連作で見たところで感動はおそらく薄く、当時の公開年に当時の年齢で見たからこそ今の感動があるのだと思う。

そして、ついに訪れたピーターパーカーに突きつけられた育ての親の死。様々なリブート作品があっても基本的にピーターパーカーの育ての親の「大いなる力には大いなる責任が伴う」という発言と死はセットになる。この発言は大切な人の死をもってしか意味を成さない。つまりマルチバースを形成したところで育ての親の死という運命は変えられない。でもその中で別世界から来たヴィランの死という運命を変えようとしていることで変えられる運命もあることを伝えている。

ここにはきっと作品を作る人の気持ちも多分に入ってるのかなと思う。スパイダーマンと言う作品のストーリーを作る上で骨組みとなるスパイダーマンのキャラ、ピーターパーカーという名前や生い立ち、そして育ての親の死という部分は変えることができない。その中で作り手としてどんな話を作るのかに作品の出来はかかってる。「変えられる運命=肉付けするストーリー」として作者は自分とピーターパーカーを重ね合わせたのじゃないかなと思う。今映画を見てるこの世界も一個のマルチバースのような感覚。

そして過去作から来たピーターパーカー達も自分達の世界では避けられなかった運命、友と恋人の死を乗り越えたことによってまさに時空を超えて運命を変えられることができた。期せずして作られた運命を見事にストーリーに組み込んだと思う。

そして全体の第一作の敵役であるグリーンゴブリン役の役者さんが本当に良い演技!顔であれだけ惹きつける、一言一句を聞きたくなる演技。時計じかけのオレンジやダーティハリーの悪役の人に通じる大衆映画では出せない振り切った悪役っぷりだった。

エンドゲームより面白い作品に出会うことはないと思ってましたが、エンドゲームばりに面白い作品に出会うことができた。
年をとり、青春時代のような多感な時期を超えた自分が、時間を経たことでしか味わえない感動を映画で体験できるとは思っていませんでした。大いに感謝。
鈴木徹

鈴木徹