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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのesoraのレビュー・感想・評価

4.6
ようやく見られたこの作品。
テーマがあるとすれば、"親愛なる隣人としての第一歩"という風に言えると思う。個人的な意見。

トムホ版スパイディは当初から、トニー・スターク並びにアベンジャーズと関わり大規模な戦いに参加してきた。したがって才能や能力は申し分ないが、どこか"街の人々のために"という精神が若干乏しいように思えてならなかったし、その点でより地味と言えば地味だけど初期の世界観やアメスパの人物像が気に入っていた。

しかし今作でトムホ版ピーターの成長をまざまざと見せつけられそんな価値観もどこかへ消えた。"自分はもっとできる""認めてほしい"そんなエゴがわかりやすく出る少年(まあそこがかわいくて憎めないんだけど)はいつしか、あの大きな決断を躊躇なく下せるまで大人になっていた。

自分の存在が揺らごうと、みんなを、あの人を、助ける。ドーナツ店でのMJへの対応もそうだ。例のことを伝えたい気持ちをぐっとこらえて、彼らの合格の知らせにあれだけ自然な笑顔を見せられる。

自分のことより、善良な市民の護衛者として。
最後、自作のスーツに身を包み警察無線を聞く彼は確実に"親愛なる隣人"そのものだった。
そして窓から飛び立ち、映像のピントがコーヒーに移る。カップには"We are happy to serve you"の文字。そう、まさにこの精神!これが備わったならいよいよ彼は強い、物凄く強い。

これからの活躍が一層楽しみになったし、こんな回収を見せられたら序盤の足早な展開なんて一切気にならない。いい映画。
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