Tully

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのTullyのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

映像が凄くてとても楽しかった。さらに、今までのトム・ホランド版ピーター・パーカーからは想像できない切ない展開に驚き、ラストは泣く。思えばサム・ライミ監督版「スパイダーマン」から20年も経ったなんて。20年間の過去作品の集大成にもなっているのが凄いなと思う。本作で平行世界からやってきた怪人たちは皆、もともとは善良な市民だったのに超人能力を手にしたためダークサイドに落ちてしまった悲しい人たちだ。ピーター自身も普通のティーンエイジャーが超人的な能力を持ってしまった人なので、ピーターが彼らのように闇堕ちする可能性だってあったんだと思う。現実世界でも、急に不相応な大金や権力を手にした人がとち狂う不幸はよくある。だから、ピーターは彼らを見捨てない。過去作品で敵役としてスパイダーマンと戦った彼らを救おうと奔走する。しかも、その過去作品で戦ってきた先代・先々代のスパイダーマンと一緒に。これは胸が熱い。ただし、スッキリしない点もある。世界の秩序を保つために、確かにピーター自身も大きな犠牲を払った。若い青年が愛する人たちとの絆を全て失うなんて、とても恐ろしいことだと思う。しかし大体この大混乱を招いたのはピーターの浅慮のためで、きっかけの幼稚さと比べて結果としての被害が大きすぎる。メイおばさんの犠牲には号泣だが、それ以外にも相当人死にが出ているのではないかと思う(最初の高速道路のシーンだけでも相当犠牲者が出ていると思う)。サラリとなかったことにしていいのか。人的被害やら建造物の被害やらは、誰が補填するのか。そもそもドクター・ストレンジも凄い力を持っている癖におっちょこちょいすぎやしないか。どうしても犠牲の大きさが引っかかるが、それでも過去作品へのアンサーとして感動的だと思う。3世代のスパイダーマンがポージングするシーンはアガる。トム・ホランドと並ぶとトビー・マグワイアもアンドリュー・ガーフィールドもすっかり大人でしみじみする。また、悪役の中でも、特にジキルとハイドのようなウィレム・デフォーの演技のスイッチングが鮮やかで、凄い俳優だなと改めて思った。
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