もりいゆうた

ジャンゴ 繋がれざる者のもりいゆうたのレビュー・感想・評価

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)
4.5
早速、上半期No.1候補の映画と出会えた!めちゃくちゃ面白かった!!!シュルツの登場シーンがあまり素晴らしくて冒頭10分で傑作であることを確信した。アカデミー賞で助演男優賞をとったのは頷ける。ちなみにタランティーノ作品でアカデミー賞を受賞した俳優はこのときの彼だけみたい、さすが。

2時間45分もあるからずっと敬遠してきたけど、面白くてあっという間だった。台詞回しが相変わらずタランティーノ節が出ていて、特に下記の台詞が面白くて思わず笑ってしまった。ぜひ映像とともに見てみてほしい!

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エリスは?
必死で逃げてくやつだ
本当に彼か?
あぁ。
断定できるか?
わからない。
断定はできんか。
断定の意味がわからない。
確かか?
あぁ。
どうなんだ?
確かにエリスブリトルだ。
(撃たれる)
断定的に死んだ
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それにしてもタランティーノ監督の社会問題__奴隷制というアメリカの負の歴史__を娯楽作品に仕立てあげる手腕が素晴らしい。(アクションありのラブストーリーでもある!)

タランティーノ監督は製作意図についてこんなことを言っていた。

「僕はずっと、このアメリカのヒドい過去である奴隷問題を扱った映画を製作したいと思っていたが、歴史に忠実な映画にはしたくなくて、ジャンル映画として描きたいと思っていた。特にアメリカのウエスタン作品は、極端に奴隷問題を避けて描いてきた作品が多かった。海外の国は強制的に過去に犯した残虐行為に対して、国ごとに対処しなければならなかったが、どこかアメリカはこの奴隷問題に関しては、みんなの過ちとして捉え、誰もしっかりと、この問題を見つめていないと思う」

調べたら、奴隷解放の後も、アメリカにはジム・クロウ法という悪名高い法律が1964年まで存在していたんだって。

これは「農作業労働者の黒人が白人と平等になっては困る」という南部経済を支える有力な白人農園主たちの本音を反映したもの。

・過酷な投票税を設け、有色人種の投票を実質的に妨げた
・学校やレストラン、病院、バスなどを公共の場を白人と有色人種で厳密に分けた
・白人と有色人種の結婚や同居を禁止した
・4世代遡って血が一滴でも混じれば有色人種とした
・ビラ・出版・演説などで平等や異人種間結婚を訴えると平等扇動罪に問われた

といった内容の法律。

黒人が馬に乗ってるだけで驚かれる、そんな時代があったのね。ほんと驚きだ。

世界史、勉強したことないから無知過ぎて全然知らなかった。映画を通して世界を知ることができて嬉しい。