タランティーノ監督、『ジャンゴ』。
ジャンゴが、黒人奴隷からスカウトされ白人紳士と共に賞金稼ぎとなって成り上がる。
ジェイミーフォックスの演技力、黒人として白人に暴力振るわれてこき使われる底辺から、白人と対等にやりあうところまで、振れ幅の広い役を見事に演じ切る。
このジャンゴをスカウトするドイツ系の歯医者の賞金稼ぎがまた良い。
キャラの濃い奴らが多い中で、彼も彼で優しさもありつつ、独特のテンポと倫理観で周りと渡り歩く。
何より、奴隷制度を嫌悪し、ジャンゴに手を差し伸べ、どんな相手であろうと騎士道を貫く姿勢。
そして、ディカプリオも存在感がすごいけど、やっぱりこの作品は、、、サミュエルLジャクソン。
ディカプリオの家で奴隷長みたいなことして、強烈なビジュアルとキャラクターでディカプリオの周りをうろちょろし、奴隷っぽくない振る舞いのジャンゴを逆に認めない奴隷長。
彼がこの作品の大半を奪い去って言ってると言って良いほどにクセが強い。
タランティーノ作品は「これはタランティーノ作品だ」ってわかりやすい部分があるけど、今回はこのディカプリオ&サミュエルがそれ、かな。
それと、節々に急にズームアップ、フェードアウトするカメラワークとか、ちょこちょこ「なに、そのぐだぐだしたやりとり、、、」みたいなのも“らしさ”かもしれない。
あの「この袋を被るのか被らないのか論争」とか。
一見なくても良いようなグダグダなシーンだけど、あれがあるからこの当時のアメリカの雰囲気みたいなのが少し伝わってくる気もする。
「黒人が白人の下にいる世界だけど、白人が崇高かと言うと、白人の中にもしょーもない奴もいる」的な。
この賞金稼ぎ稼業でジャンゴが白人社会に割って入って、いつの間にか逆手に取ってく筋書きが堪らない。